進路や学部・学科選びのポイントを、センセイ・センパイにインタビュー。
シリーズ5 業界で活躍中のセンパイにきく
アコガレ★JOBインタビュー season 3
Part.18 美術・デザイン・マンガ・アニメ業界
画廊スタッフ・画家
木村 かほる(きむら・かほる)さん
公開:
更新:
世の中のさまざまな職業の中から、人気の業界で活躍している21名(21職種)にインタビュー。それぞれの職業について、しごとの内容や、やりがい、面白さなどについて、語ってもらいました。「どんな人に向いているか」「なるにはどうすればいいか」など、これから進路を決めようとしている高校生に向けて紹介します。インタビュー動画も合わせてご覧ください。
画廊のスタッフとして働くかたわら
画家・絵本作家として活動する
私はスペースユイという画廊で働きながら、絵を描いています。画廊ではホームページやオンラインを担当しています。私の肩書きは「画家」が一番近いのかもしれませんが、そういう肩書で活動したことはなくて、ただ絵を描いてきただけかもしれません。
絵は主にアクリル画を描いています。1日中、ずっと描いているというわけにはいかないので、1枚の絵に10日をかけることもあります。描いた絵は、個展のときに買っていただけることもありますが、絵の販売だけで生活はできません。
以前は絵本の仕事も多くしていました。昔の作品が復刊したり、母の介護の傍らに描いていたスケッチを漫画本のようなイラストエッセイのような形で出版したりと、こちらの方も調子が戻ってきました。
私の母は90歳になって、少し言動がおかしくなったのですが、面白いエピソードをスケッチブックに描いて小冊子にまとめて画廊に置いておいたところ、編集者の方の目に留まり、出版することになりました。
喘息を発症して油絵からアクリル画
心から満足のいく絵を追い求めていく
私はもともと油絵から始めて、絵で仕事をしていきたいということで、まずは絵本の画家を目指しました。景気の良かった頃は、出版社に必死に持ち込みをして仕事をもらっていました。最初に絵本の仕事を取ったときは、ものすごく嬉しくて、天にも昇るほどでしたが、描き出してみると、絵本作家の世界をよく知らなかったので、厳しかったです。
そして、景気が悪い時期になると大きな仕事が得られなくなり、イラストやカットなど、細々とした仕事をやってきました。
絵で生きていく上で最も大変なのは、実は営業だと思います。今は画廊の仕事の傍ら、マイペースで絵を描いているので幸せです。
私にとって油絵はすごく性に合っていたのですが、画材が体に合わなかったのか、私は喘息を発症してしまいました。そこで、泣く泣くアクリル画に移行しました。油絵は濃い色から明るいのに塗りあげていくのが常道ですが、アクリルはその逆です。そこが難しくて苦労しましたが、今はもうアクリル画一辺倒です。
絵本の世界も絵の世界でも、それを生業にしていくのが大変な時代になっていますが、しっかり現実を見極めて頑張ってほしいです。
やっぱり自分の興味に合う、好きな絵を一生懸命に描いて、自分なりに納得できるということが、鑑賞者や読者に伝わっていくと思います。