進路や学部・学科選びのポイントを、センセイ・センパイにインタビュー。
シリーズ5 業界で活躍中のセンパイにきく
アコガレ★JOBインタビュー season 3
Part.20 エンタメ(プレーヤー)業界
ミュージシャン
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世の中のさまざまな職業の中から、人気の業界で活躍している21名(21職種)にインタビュー。それぞれの職業について、しごとの内容や、やりがい、面白さなどについて、語ってもらいました。「どんな人に向いているか」「なるにはどうすればいいか」など、これから進路を決めようとしている高校生に向けて紹介します。インタビュー動画も合わせてご覧ください。
プレゼンをして就労許可を得て
音楽家としてパリを拠点に活動
僕の肩書きは音楽家とかミュージシャンです。自分でプロジェクトを起こし、運営します。仕事は多岐にわたりますが、収入の大半を占めるものは演奏です。僕の演奏技術とか、アイデア、能力とかを必要としてくれる人がいたら、その人のために演奏します。
僕は現在、パリを拠点に活動しています。今持っているビザは永住権ではなくて、役所で3年に1回、プレゼンテーションをして得られるものです。永住権とは違い、そのたびに活動計画を説明しなくてはならないし、前回までのものがちゃんと実現しているかどうかも見られます。
自分が演奏家とかアーティストとして、何をフランスにもたらせるのか、何を自分の母国である日本にもたらせるのかということをプレゼンテーションして、認められれば3年間の更新が認められ、自由な活動が許可されます。
僕は演奏家という扱いだったりとか、書類上では作曲家っていう扱いになっていたりすることもあって、場所や場面によって呼ばれ方が違うこともあります。
アートの真骨頂は「自由さ」だが
自由には知識や教養の裏付けが大切
この仕事のやりがいは、やっぱり「もの」を作るってことだと思います。同じアート作品を作る業界に建築家とか大工さんがいますが、建築は人の命に関わります。建物が壊れたら人が死んでしまうかもしれませんが、音楽では人は死にません。そういう意味での自由さとか気楽さがあります。
人の生死には関係ないから、何を作っても自由で気楽と言いつつも、勉強はした方がいいと思います。例えば楽器を演奏するときに、脳と体が結びついていることとか、どうやって我々は音をとらえているのか、演奏する時はどうやって体をコントロールした方がいいのかなど、医学的なことや生物学的な知識が必要です。僕の使っているコントラバスという楽器も、微分・積分の知識がなければ作れません。
結局、いろんなことの複合体の中に音楽はあります。知識が無くてもできる人、感覚的に全部わかっている人は本当の天才だと思いますが、そんな人はなかなかいません。ですから、僕はずっと学ぶ必要があると思っています。
僕の仕事は金銭的に考えると割に合いません。人前で演奏してお金を貰えるまで、20年ぐらいトレーニングしていなければならないからです。
でも、自分の時間や能力を費やして、大金は得られないけれど生活は何とかできるという、そんな人生を楽しいと思える人は向いていますね。