EYE's Journal

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42-2

シリーズ42 出願直前 2019年度 大学入試のトレンドをチェック
Part.2 
国公立大の傾向・私立大の傾向

解説:駿台教育研究所
進学情報事業部 石原 賢一 部長
※組織名称、施策、役職名などは原稿作成時のものです
公開:

大学入試はここ数年、文科系の人気が高く理科系の人気が低い「文高理低」が大きなトレンドになっていたが、2019年度はどのような動きが出てくるのだろうか。大学入試全体、国公立大個別試験、私立大一般選抜試験について、志願動向、系統別の人気、入試改革の影響、学習の進め方、併願作戦などを駿台教育研究所進学情報事業部の石原賢一部長に分析していただいた(全2回/後編)。

《国公立大》
個別試験にも入試改革の影響が
記述・論述式で表現力を評価

国公立大は、大学全体の傾向と同様に、文科系の人気が高く、理科系の人気が低くなっている。これは、2019年度入試においても変わらないだろう。

理科系のなかでも、とくに医学・歯学・薬学などメディカル系、化学系、農・水産学系の人気の低さが目につく。

化学系、農・水産学系については、新しい話題や将来性を感じさせる話題が少ないため、将来の職業イメージを描きにくく、進路としての魅力が乏しいと受け取られている面もあるようだ。ただ、もともと化学や農・水産学に関心がある人は、入試が易化するので積極的にチャレンジしてみるといい。

一方で、電気・電子・情報系や土木建築系は一定の人気を維持している。これらは、ICTなど最新の話題や建築の増加などによって将来性があるととらえられているようだ。

2019年度も改組などが続く 
医学部は面接重視へ

国公立大では、ここ数年、改組などによって新しい学部学科を設置する動きが続いているが、2019年度も改組などが予定されている。

たとえば、東京工業大は募集区分がこれまでの「類」から「学院」別に変わる。生命理工は類から学院にほぼそのままスライドするが、それ以外は従来の類と少しずつ変わっているので、よく調べてみることが必要だ。

東京外国語大は、新たに国際日本学部を設置する。センター試験が450点で、個別試験は英語300点、地歴100点で計400点となる。英語ではスピーキングの試験も行う。

横浜市立大は、国際総合科学部を分割して、国際教養学部、国際商学部、理学部に分ける。

入試方法の変更は、医学系で目立っている。筑波大の医学群は、前期の募集人員を63人から58人に減らすとともに、第1段階選抜を従来の5倍から2.5倍に引き下げる。これは、適性試験で面接をしっかり行うためとみられる。東京大の医学部も第1段階選抜を4倍から3.5倍に引き下げる。これも面接を重視するためとみられる。新潟大の医学部は、2段階選抜を導入し、個別試験の配点を増やす。

記述・論述式の出題が増加 
センター後すぐに個別対策

出題傾向についてみると、個別試験にも入試改革の影響が出てくることになりそうだ。具体的には、難関大を中心に、記述・論述式の出題が増えることが予測される。これは、新しい学力像のうち表現力を評価して、より質の高い受験生を選ぼうとしているためだ。

こうした出題への対策としては、いわゆる「必勝法」や「攻略法」といったものは考えにくく、自分の頭を使って考え、手を使って文章を書くことを繰り返し実践するしかない。その方法として、たとえば記述・論述式の問題集を使って、短文でもいいので自分で答えを書くことに取り組んでみよう。

2019年度は、とくに注意すべきことがある。それは、センター試験の実施日が今年よりも6日ぐらい遅くなること。このため、センター試験が終わったらすぐ個別試験や私立大一般選抜試験の対策を進めないといけない。

もちろん、第1志望優先でいいが、センター試験の得点が思うほど伸びなかったケースも想定して、志望校を変更する場合はどうするか、事前にシミュレーションしておくことが欠かせない。

センター試験が終わるや否やスムーズに個別試験対策、私立大一般選抜対策に切り替えられるかどうか。そこで合否が決まるといっても過言ではない。

《私立大》
文系一般選抜は最激戦の可能性
理系は比較的ゆるやかな入試に

2019年度の私立大の一般選抜試験は、文科系の人気が続き、ここ数年でも最激戦になりそうだ。2018年度も厳しい入試だったが、さらに難化することが予測される。

理科系は、それほど厳しい入試にはならないだろう。これは、国公立大が入りやすくなっているため受験生がそちらに流れることや、入学定員の絞り込みも文科系ほどではないことなどによる。

経済・経営・商学系が人気 
グローバル系は新設目立つ

系統でみると、文科系のなかでも、経済・経営・商学系やグローバル系の人気が高く、理科系では、電気・電子・情報系、土木・建築系などの人気が高い。

その要因の1つに将来性や斬新さを感じさせる話題が多いことがある。たとえば、テレビやネットで景気の回復や株価の堅調さが伝えられ、グローバルという言葉も毎日のように聞く。AI、自動運転、オリンピック関連を含む建築の活発さなども同様だ。こうした傾向は2019年度も変わらない。

これらのうち、グローバル系は2019年度の新設も多い。中央大が国際経営学部と国際情報学部、津田塾大が国際経営学部、立命館大がグローバル教養学部、京都産業大が国際関係学部を新設する。ただ、グローバル系は志望者の絶対数はそれほど多くないので、学部学科が増えると志望者が分散し、激戦にはならないとみられる。

グローバル系以外で新設が多いのはメディカル系で、看護、理学療法、作業療法などの学科の新設が全国的に目立っている。また、待機児童問題などを反映して幼児教育系も新設が多い。

2019年度に注意が必要なことの1つに、早稲田大の教育学部が一般選抜試験の定員を減らすことがある。英語英文学科が100人から80人になどすべての学科で減る。そのぶん、これまで推薦入試が自己推薦で定員50人だったものを指定校推薦にして190人に増やす。

入試方式では、英語の外部試験利用がさらに拡大する。すでに導入しているところでも、対象とする外部試験を変更したり、求めるスコアや級などを変更したりするところも少なくない。このため、最新の情報をチェックすることが必要だ。

センター試験利用入試も、さらに増える。なかでも2019年度は聖路加国際大の看護学部、東京薬科大の生命科学部、日本医科大の医学部などメディカル系でも導入するところが目立つ。

一般選抜試験の出題傾向はこれまでと変わることはない。また、以前に比べると、学部ごとの出題の特色が薄れているところが多いので、学内併願もしやすい。

第1志望重視の併願作戦を 
センター利用はサブで

私立大の併願作戦としては、文科系は第1志望を重視しつつ安全校を確保することが大切だ。第1志望については、複数の入試方式や異なる学部学科の併願によって受験機会を増やせばいい。

安全校を確保するうえでは、センター試験利用入試はあくまでサブと位置づけよう。文科系の人気の高さが影響して、センター利用型で実力相応校に合格するのが難しい状況になっているからだ。各大学の一般選抜試験で安全校を確保したい。

理科系は、文科系よりも強気に第1志望をめざせばいい。また、特定の系統に絞るのではなく幅を広げてもいいという人は、化学系、生物工学系、生命工学系、農学系など、学問領域としては面白いのに人気が低いところも候補にすると有力大学合格につながる場合もある。柔軟な系統選びも有効な併願作戦の1つといえるだろう。

2018年度 大学の系統別志願者指数(駿台予備学校)

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