都心の専門学校ならではの、特色ある学科やコースを取材
4-2第4回 vol.2
眼鏡学科
(後編)
(東京都新宿区)
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一般ユーザーが来店する店舗運営の経験が
学生を眼鏡技術者として飛躍させる
――高校までの科目でいうと、理系の素養が必要みたいですね。
物理や生物の延長線上にある科目が多いのは確かですが、学生の大半が文系タイプであることは、大卒後入学者の前歴が物語っています。
専門学校や大学卒業者を対象とする2年制の第二眼鏡学科も、高卒者を対象とする3年制の第一眼鏡学科も、専門科目が本格化する前の理数系基礎科目で基礎からしっかりと勉強し直すので心配はいりません。実験科目を導入科目として用いて、入学者の興味を引くといったカリキュラム編成上の工夫も取り入れています。
――眼鏡店等で研修する実習などもあるのですか。
3年制の第一眼鏡学科でいうと、3年次の夏以降に約10週間のインターンシップに出向き、受け入れていただいた眼鏡店や眼科のスタッフとして働きます。
また、学内においてではありますが、2年次以降、特定の相手を検眼して調整して、実際のメガネを製作する実習も取り入れています。2年次後期にはクラスメイトのメガネを、3年次前期には新入生のメガネを作ります。
こういった実習を通じて、めざすのは単なる店舗スタッフではない、眼鏡技術者であることを自覚させ、その後の高い知識と技術の育成に結びつけるわけです。
――校舎1階の一部が眼鏡店になっていますが、これは学生の実習用ですか、それとも一般向けの店舗ですか。
「メガネファーム」のことですね。ここは一般のメガネユーザーの方に来店いただく店舗ですが、学生にとっては実習用の教育施設でもあります。
学生は、最終学年になると交代でメガネファームのスタッフとして店舗に立ち、仕入れ、販売促進、店舗マネジメントといった実習課題に取り組みます。
もちろん、店舗業務のすべてを学生に委ねているわけではありません。メガネファームには講師が常駐しています。一般ユーザーが相手ですから、強度の近視や遠視・乱視などの方がみえることもあります。ときには難性メガネをオーダーされる場合もあります。
通常の眼鏡店や眼科では日常であっても、教室の中では知り得ないことが少なくありません。学生は、このメガネファームでの実習を通じて、店舗運営の現実を目の当たりにします。東京眼鏡専門学校ならではの学内実習といえるのではないでしょうか。
日本におけるメガネ人口は7,100万人にものぼるのだそうです。2005年に行われた国勢調査による日本の総人口は推定1億2,777万人ですから、全体の56%、半数以上の人がメガネをかけている計算です。近年のメガネブームで増加したファッションメガネやサングラスの愛好者まで含めると、もはやその数は図り知れません。
メガネは、近視や乱視、遠視など、視力の不具合を調整する道具です。東京眼鏡専門学校の渡辺副校長がいうように、もともとは医療器具として生まれました。弱視などの障害を補助するために必要としている人もいます。近視と乱視の両方を抱える人もいます。きちんと検眼して、それぞれに合った調整が必要なことはいうまでもありません。
最近、スリープライス店などの出店ラッシュが続き、既存店と競合して、どの店で求めればいいのか迷ってしまう消費者も少なくないことでしょう。スリープライス店とは、料金設定を5,000円、7,000円、9,000円などの3種に絞って販売する眼鏡専門店のことで、時計などの貴金属・精密製品店の流れを汲む旧来の眼鏡店とは一線を画します。単に値段だけならスリープライス店ですが、果たしてそれだけで選んでいいのか…。
そういったときの目安になるのが資格ではないでしょうか。認定眼鏡士が勤務する証として、その認定証を掲げる店舗があります。同資格には3年間の有効期限があり、継続して認定を得たい場合は、有効期間内に3回以上の生涯教育を受講しなければなりません。
これから新しく認定眼鏡士の資格を得るには、(1)3年制相当以上の眼鏡専門学校で学び認定試験に合格する、(2)所定の眼鏡実務経験を経て認定眼鏡士試験に合格する、のいずれかの方法を選ぶ必要があります。認定眼鏡士試験には医学や光学、作成調整法などの専門学科試験に加え、実技試験も課されます。おそらく、多くは専門学校のルートを選ぶようになることでしょう。
2007年2月現在、認定眼鏡士養成のカリキュラムを開講する専門学校は次の4校です。
●東京眼鏡専門学校(東京)
●キクチ眼鏡専門学校(名古屋)
●日本眼鏡技術専門学校(大阪)
●ワールドオプティカルカレッジ(岡山)