EYE's Journal

いま知りたい教育関連のテーマについて、ドリコムアイ編集部が取材・調査

43-3

シリーズ43 高等学校アンケート調査
Part.3 
学校における先生のアプリ活用について
アンケート集計結果
~今後の進展に期待も、現状はまだ厳しい~

編集部
※組織名称、施策、役職名などは原稿作成時のものです
公開:

スマートフォンやタブレットが生徒間では全員に近いほど普及している現状ながら、授業や生徒指導の現場でどのように活用できるかについては、まだ試行錯誤の段階といえそうだ。そこで日本ドリコムでは、さまざまな教員向けアプリ、業務向けアプリが存在する中、具体的に先生方にアプリをどのように活用されているかを聞くアンケート調査『学校における先生のアプリ活用について』を実施した。このアンケート調査の集計結果が、校務の効率化、教育の情報化等の参考に資することができれば幸甚である。(Part.3/全3回)

Part.1「最新の高等学校のICT環境を概観する」はこちら

Part.2「スマートフォン・タブレットなどの学校での使用環境や問題点」はこちら

アンケートは2018年11月から12月上旬にかけ関東甲信越地区の高等学校の進路指導部に調査項目をお送りし、メールまたはFAXでご回答いただいた。

回答総数は92校とアンケート総数としては決して多くないが、ご多用中にもかかわらず、積極的な問題提起や貴重なご意見を賜り、感謝申し上げる。

集計中で、具体的なアプリ名が判別できない場合は別製品として集計しており、実際には同じ回答アプリ名と重複している可能性がある(例:Googleカレンダー、Googleなど)。

Q1 ご回答者はスマートフォン、もしくは
タブレットPCをお持ちですか?
a 持っている/b 持っていない

【Q1】スマートフォンかタブレットPCをお持ちですか?

まず、先生方ご自身の環境をうかがった。

「持っている」82人、「持っていない」10人で、ほとんどの先生がご自分でもお持ちになっているという回答であるが、持っていない先生も、かなりおられた。

Q2 授業の補助や教室運営に
アプリを活用していますか?
a 学校もしくは教科単位で活用している/b 個人で活用している/c 活用していない

【Q2】授業の補助や教室運営にアプリを活用していますか?

では、先生ご自身は、どのような使い方をされているのだろうか。まず教員向けアプリ、もしくは一般向けアプリをどのような用途で使われているかをうかがった。

「学校等で活用している」と答えた先生は20人で、具体的なアプリ名としては、ロイロノート・スクール 6人、Classi(クラッシー)4人、Evernote 3人、スタディサプリ 3人、schoolTact(スクールタクト)2人、Google 1人、G Suite 1人、Excel 1人、Office365 1人、Classroom 1人、MetaMoji(メタモジ)1人、Word 1人が上がった(重複含む)。

「個人で活用している」と回答した先生は7人。アプリとしては、オンサ、Googleフォーム、Study.jp、スタディサプリ、Kahoot!、PowerPoint、ReSoundが上がった(いずれも各1人)。

「活用していない」との回答は58人。回答いただいた先生方の半数以上が学校・個人でも活用していないということである。

Q3 教員同士のコミュニケーションや
連絡手段としてアプリを活用していますか?
a 学校もしくは教科単位で活用している/b 個人で活用している/c 活用していない

【Q3】教員同士の連絡手段としてアプリを活用していますか?

次に、教師間の連携ツールとして、学校や個人でアプリを活用しているか、またそのアプリ名をうかがった。

「学校・教科で活用している」と答えた先生は24人。「個人として活用している」は28人。「活用していない」は38人だった。

ちなみに学校でも個人でも活用している先生も6人おられた。学校・教科で活用している先生が使っているアプリは、Classi 7人、LINE 5人、サイボウズ 4人、Evernote 2人、Google 2人、Office365 1人、マチコミ 1人、Gmail 1人、G Suite 1人、Googleクラスルーム 1人、Googleハングアウト 1人、ミライム 1人、チームドライブ 1人、デジキャン 1人、ロイロノート 1人(重複含む)。

一方、個人で活用している先生のアプリはLINE 26人が圧倒的に多く、以下Googleハングアウト 1人、メール 1人、Messenger 1人(重複含む)だった。

Q4 スケジュールやタスクの管理に
アプリを活用していますか?
a 学校もしくは教科単位で活用している/b 個人で活用している/c 活用していない

【Q4】スケジュールやタスクの管理にアプリを活用していますか?

スケジュール管理等でアプリを使用しているか、そのアプリ名もうかがった。

「学校または教科単位で活用している」とした先生は14人。「個人で活用している」は19人。また「活用していない」は51人だった。

学校・教科で活用されているアプリはサイボウズ 4人、Google 3人、Classi 2人、Evernote 1人、Office365 1人、Outlook 1人、G Suite 1人、Googleカレンダー 1人、デジキャン 1人、マチコミ 1人、ミライム 1人だった(重複含む)。

個人で活用している先生のアプリは、Googleカレンダー 8人、Google 2人、ジョルテ 2人、iPhoneカレンダー 3人(iPadカレンダー 1人、Appleカレンダー 1人含む)、iPhoneメモ 1人、MSカレンダー 1人、Lifebear 1人、Todoline 1人、ホワイトベアー 1人、スケジュール 1人、iPhoneリマインダー 1人、リマインダー 1人、不明 1人(重複含む)。

Q5 進学情報や教育情報の収集に
アプリを活用していますか?
a 学校もしくは教科単位で活用している/b 個人で活用している/c 活用していない

【Q5】進学情報や教育情報の収集にアプリを活用していますか?

情報収集ツールとしてアプリを活用しているかをアプリ名とともにうかがった(回答にはアプリでないものも含まれている)。

情報収集に関してはアプリの簡便性が逆に作用しているようで、アプリではなくウェブサイト名を挙げる先生もおられた。

「教育・進学情報収集のために学校・教科単位で活用している」先生は9人。「個人単位で活用している」先生は3人、「活用していない」先生は71人にものぼった。

学校・教科単位で活用しているアプリはBenesse High School Online 3人、Classi(検討中)1人、G Suite 1人、スタディサプリ 1人、各社HPなど1人。

個人で活用しているアプリは、Benesse High School Online 2人、駿台ネット 1人、各社HPなど1人(重複含む)。

Q6 今後、教育現場においてアプリの活用は
広まっていくと思いますか? その理由もお書きください
a 思う/b 思わない

【Q6】今後、教育現場においてアプリの活用は
広まっていくと思いますか?

最後に、今後アプリ活用が広まっていくと思うかをうかがった。「思う」と答えた先生は68人、「思わない」と答えた先生は19人だった。アプリ活用に可能性を感じている先生は、過半数を大きく超えている。

広まっていくと思うと答えた先生の意見をいくつか紹介すると、
「個に合わせた情報収集のプラットフォームとして最適」
「情報共有しやすい」
「ポートフォリオの作成に役立つ」
「情報の収集・共有・活用の利便性が高い」
「教員や生徒がタブレット端末を所有・利用する上でアプリ活用は必須。タブレットはアプリがないと単なるインターネットにつながるだけのものになる」
「教材の多様化に伴い、教員側の準備等で負担が減る」
「視覚情報に優れ更新しやすい」
などの意見が目立った。

アプリ使用による教育の多様化や、生徒の学習状況などの情報管理面の効率化に期待されている先生が多かった。

思わないとされた意見では
「個人情報の管理や新しいアプリが次々に出てくると追いついていけない教員は多い」
「アプリのインストールには許可が必要」
「多様だがアプリに統一性がない」
「スマホやタブレットの電源を授業中に入れることを良しと思われていない現状はまだ続く」
「私物でなく教員用の公務端末が配布されるとは思えないし個人情報の管理にも不安がある」
「セキュリティや費用面で問題がある」
「通信量が節約できるWi-Fi環境が整わない」
「校内でのインターネット接続管理が厳しい」
「教育の公平性が保たれるか疑問」
「教員と生徒のSNSが問題視される傾向にある」
という意見があった。

お忙しい中、アンケート調査にご協力いただいた方に厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。

※記載されている各会社名、各製品名およびサービス名などは各社の商標または登録商標です。

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