EYE's Journal

いま知りたい教育関連のテーマについて、ドリコムアイ編集部が取材・調査

44-2

シリーズ44 2019~2020年度 新・高校3年生対象
Part.2
全国主要30国公立大学 受験対策ガイド
【南関東・東京】
埼玉大学千葉大学東京大学
東京医科歯科大学東京外国語大学東京工業大学
一橋大学首都大学東京横浜国立大学

解説:駿台予備学校
※組織名称、施策、役職名などは原稿作成時のものです
公開:
 更新:

2020年度入試をめざす新・高校3年生のみなさんが大学入試に向けて本格的な対策をスタートさせる時期になりました。そこで、主要国公立大学30大学について、センター試験の目標ラインや個別試験の特徴や対策など今後の学習の指針となるポイントについてまとめましたので、受験勉強のスタートダッシュに役立てください。なお、2018年度入試までの出題内容と2019年度の募集要項に基づいて作成していますので、必ず2019年度入試問題や2020年度入試の選抜要項・募集要項などで最新の情報を手に入れてください(全4回/その2)。

Part.1「北海道~北関東」エリアはこちら

Part.3「中部・関西」エリアはこちら

Part.4「中国・四国・九州」エリアはこちら

埼玉大学
【国立大学・埼玉県さいたま市】
学部:
経済/教育/教養/理/工
●下記はすでに終了した入試の情報です。

センター試験と個別試験の配点は、同配点の理学部数学科〈前期〉〈後期〉以外はいずれもセンター試験重視の配点です。どの学部志望でも〈前期〉ではセンター試験で75%以上の得点率を、また〈後期〉では80%程度の得点率を目標にしてください。

個別試験はどの教科・科目も標準的なレベルでの出題が多いため、学校の授業、教科書を大切にして、基礎を固めることが鉄則です。ただし、国語の現代文は難度が高い問題が出題されます。長文の評論を読ませての論述問題ですが、内容も高度であることが多いため、社会科学系のテーマの新書などを読むことから始めてください。

また、理学部〈前期〉(数学科除く)では総合問題、工学部〈前期〉では小論文が必須です。理系だから国語はセンター試験さえ乗り切ればいい、というわけではありません。実際に手を動かして解答を作成することが必要ですが、こうした問題は自己採点が難しいため、学校や予備校の先生に添削をお願いして練習を繰り返していきましょう。

千葉大学
【国立大学・千葉県千葉市】
学部:
文/教育/法政経/理/医/薬/看護/工/園芸/国際教養
●下記はすでに終了した入試の情報です。

千葉大は、法政経学部、国際教養学部、看護学部、園芸学部など、他の国立大学にはない学部・学科が多数設置されている大学です。

〈前期〉の配点は、教育学部の一部と薬学部を除いて、個別試験重視の配点です。特に、医学部医学科は、センター試験:個別試験の配点が450点:1000点と個別試験がセンター試験の2倍以上となっています。

個別試験の問題は、近年難化の傾向にある古文と、学部・学科による難易度の差が目立つ化学を除き、基礎を押さえておけば合格点に到達できる国公立大学として標準レベルの問題です。難関学部志望者は高得点が要求されるため、ケアレスミス等による失点は絶対にしないことが重要です。

なお、国際教養学部の個別試験は、3教科を課す通常型入試、小論文と英語による面接を課す特色型入試のいずれかを受験します。

2020年度入試では、文学部人文学科日本・ユーラシア文化コースの〈後期〉が廃止となり、〈AO〉が新規に実施されます。教育学部では募集人員や選抜方法の変更があります。また、医学部医学科では、募集人員が〈前期〉で12人、〈後期〉で5人減少しますので注意が必要です。

東京大学
【国立大学・東京都文京区】
学部:
文/法/経済/教育/教養/理/工/医/薬/農
●下記はすでに終了した入試の情報です。

東京大の一般選抜は〈前期〉のみで実施され、センター試験110点、第2次学力試験440点の総合点550点で合否判定が行われます。

すべての科類で2段階選抜の実施が予告されており、その実施予告倍率は文科各類が約3.0倍、理科一類が約2.5倍、理科二類と理科三類が約3.5倍です。

2018年度入試では、1次通過最低得点率は文科一類64.7%、文科二類78.1%、文科三類82.0%、理科一類79.4%、理科二類79.7%、理科三類70.0%(当時の実施予告倍率は4.0倍)でした。

第2次学力試験の英語は記述式とマークシート方式を併用する形式です。個々の問題は決して超難問ではありませんが、試験開始45分後に実施されるリスニングを挟んで5つの大問を手際よく解答する能力も試されます。他教科は高度な記述力、論述力を要する設問が中心で、基礎力を完璧にした上で、過去問などを用いて答案作成力を向上させることが重要です。

なお、推薦入試は科類別ではなく学部別(医学部は学科別)に実施されており、出願要件は厳しいですが、意欲ある受験生はチャレンジしてみるのも良いでしょう。

東京医科歯科大学
【国立大学・東京都文京区】
学部:
医/歯
●下記はすでに終了した入試の情報です。

東京医科歯科大の〈前期〉は、医学部医学科と歯学部歯学科のセンター試験:個別試験の配点が180点:360点と個別試験重視の配点となっています。しかし、受験生のレベルが高いことから個別試験での逆転はそう簡単ではなく、センター試験ではできるだけ失点しないようにする必要があります。

センター試験の得点率は、過去の合格者平均点を参考にすると、医学部医学科は90%以上、医学部保健衛生学科・歯学部歯学科は80%前後、歯学部口腔保健学科も70%前後が求められます。

また、個別試験の英語では、1500語程度の長文読解1題のみが出題されるという特徴がありますが、全体としては標準~やや難レベルの出題で、最難関医学部医学科の一つであることから小さなミスは許されません。

〈後期〉は、医学部医学科、歯学部歯学科のみで実施されます。センター試験重視の配点のためセンター試験の高得点は絶対ですが、個別試験の小論文の内容も難しいため、その対策も必要となります。

東京外国語大学
【国立大学・東京都府中市】
学部:
言語文化/国際社会/国際日本
●下記はすでに終了した入試の情報です。

東京外国語大の〈前期〉は、外国語大学という特性から、英語の配点が高くなっています。

センター試験では450点満点中200点、個別試験では400点満点中300点の配点で、センター試験と個別試験を合わせると総合点の6割近くを占めています。

特に、個別試験の英語の難易度はかなり高いことから、まずは英語の学力アップを目標に重点的に学習を進めてください。リスニングは分量が多いので、十分な準備が必要です。

また、センター試験の理系科目の配点は低く、数学は1科目50点、理科は地歴公民と合わせて2科目選択で100点なので、理系科目が少々苦手でも英語が得意であれば十分に合格を狙うことができます。

言語文化学部、国際社会学部ともに募集単位(言語、地域)によって合格最低点にかなり差があり、2018年度入試では、国際社会学部の北西ヨーロッパ・アフリカなどの合格最低点が高くなっています。

2019年度新設の国際日本学部では、個別試験の英語でスピーキングの試験が行われることにも注意してください。

東京工業大学
【国立大学・東京都目黒区】
学院:
理/工/物質理工/情報理工/生命理工/環境・社会理工
●下記はすでに終了した入試の情報です。

東京工業大の〈前期〉では、2019年度から6つの学院に分かれて入試が行われ、出願時に第3志望まで学院を選択できます。また、センター試験で950点満点中、基準点の600点を満たせば個別試験への出願が可能となっています。

個別試験では、理系科目の配点比率が80%と非常に高いため、数学、物理、化学をきちんと完成させることが大切ですが、標準的なレベルの問題が多いため、まずは学校の授業をきちんと理解することが重要です。その上で、過去問を徹底的に研究し解答力を身につけてください。

特に、数学は試験時間が3時間と長いため、時間の感覚を身につけておくと良いでしょう。また、英語は2題合わせて2300語強という長文ですが、文章全体の構成をしっかりと押さえ、どのように論理が展開されているかを捉えつつも精読を心掛ける、という正攻法の姿勢での読解が望まれます。

一方、〈後期〉は生命理工学院のみで実施され、化学を中心とした設問による総合問題が出題されます。

一橋大学
【国立大学・東京都国立市】
学部:
法/経済/商/社会
●下記はすでに終了した入試の情報です。

センター試験よりも第2次試験の配点がかなり高い2次試験重視の大学です。

2018年度入試〈前期〉での第1段階選抜通過ラインは、最も高かった社会学部でも得点率は約78%と際立って高いラインではありません。第1段階選抜通過ラインは年度により変化しますが、合格者の平均得点率は常に85%~90%程度で、この得点率が合格への必要条件といえます。また、センター試験、第2次試験とも各教科の配点は学部ごとに異なっています。

センター試験の配点を見ると、どの学部も理科は軽視できません。特に社会学部〈前期〉はセンター試験180点満点のうち、理科が100点と圧縮されずにそのまま加点されるため、理科の対策は重要です。

第2次試験の入試問題は、どの科目も一筋縄ではいかない応用問題が出題されます。そのため合格するには早期に基礎を固め、そこから応用問題に対処できる発想力、思考力、計算力等を養成する必要があります。

なお、〈後期〉は経済学部のみの募集です。

首都大学東京(2020年4月より「東京都立大学」に名称変更予定)
【公立大学・東京都八王子市】
学部:
法/経済経営/人文社会/都市環境/理/システムデザイン/健康福祉
●下記はすでに終了した入試の情報です。

首都大学東京の入試教科数は、学部・学科によって異なるため、注意が必要です。例えば、センター試験〈前期〉で受験が必要な教科数は、文系では法学部は3教科受験ですが、人文社会学部、経済経営学部はいずれも5教科受験が必要です。都市環境学部では4教科受験と5教科受験の学科に分かれています。

また、センター試験と個別試験の配点も、学部・学科により比率が異なっていますので、早めにチェックしておきましょう。なお、合格の目安となるセンター試験得点率は、3教科受験の法学部は、84%という高い得点率が目標となります。その他の学部・学科も75%~80%と比較的高い得点率が必要です。

個別試験は文系の英語で英文の分量が増加傾向にありますので、注意が必要です。他の教科・科目はいずれも標準的なレベルでの出題が多いため、基礎を固めてから記述式・論述式問題の対策を進めましょう。

2020年度から東京都立大に大学名称が変更になるほか、人文社会学部人文学科で募集人員の変更があるので注意が必要です。

横浜国立大学
【国立大学・神奈川県横浜市】
学部:
経済/経営/教育/都市科学/理工
●下記はすでに終了した入試の情報です。

個別試験で教科試験を課さない経営学部〈前期〉と教育学部は、センター試験で合否がほとんど決まることから、センター試験では80%以上の得点率を目標としてください。

個別試験は、どの科目も基礎をしっかりと押さえておけば合格点を獲得できる国公立大学の標準レベルの問題ですが、高得点が要求されるため、ケアレスミス等をいかに少なくして他の受験生と差をつけるかがポイントといえます。

なお、英語は標準的な出題ですが自由英作文が重視されるので、十分な対策が必要です。数学は、難易度は標準的ですが計算量が多く、確実な計算力が必要です。物理は標準的な出題で、化学と生物は難度の高い出題が見られます。

〈後期〉は個別試験が教科入試のため、併願先として狙われており、センター試験の目標得点率も多くの募集区分で80%以上と〈前期〉より高い得点率が要求されるので注意が必要です。

なお、2020年度入試から、都市科学部建築学科〈前期〉、都市基盤学科〈前期〉の理科は物理・化学が必須となります。

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