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44-3シリーズ44 2019~2020年度 新・高校3年生対象
Part.3
全国主要30国公立大学 受験対策ガイド
【中部・関西】
新潟大学・金沢大学・静岡大学・
名古屋大学・名古屋工業大学・京都大学・
大阪大学・大阪市立大学・神戸大学
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2020年度入試をめざす新・高校3年生のみなさんが大学入試に向けて本格的な対策をスタートさせる時期になりました。そこで、主要国公立大学30大学について、センター試験の目標ラインや個別試験の特徴や対策など今後の学習の指針となるポイントについてまとめましたので、受験勉強のスタートダッシュに役立てください。なお、2018年度入試までの出題内容と2019年度の募集要項に基づいて作成していますので、必ず2019年度入試問題や2020年度入試の選抜要項・募集要項などで最新の情報を手に入れてください(全4回/その3)。
新潟大学
【国立大学・新潟県新潟市】
学部:人文/法/経済/教育/創生/理/工/医/歯/農
●下記はすでに終了した入試の情報です。
新潟大は、センター試験と個別試験の配点は、人文学部〈前期〉、経済学部〈前期〉、医学部医学科〈前期〉、歯学部歯学科〈前期〉は個別試験重視ですが、他はいずれもセンター試験重視です。〈前期〉合格者のセンター試験平均得点率は、例年、医学部医学科が90%前後、歯学部歯学科が80%前後と高い得点率となっていますが、他は70%前後が目安となります。
個別試験は、全体的には基礎を押さえておけば合格点に到達できる、国公立大学として標準的なレベルでの出題中心ですが、他の国公立大学同様に記述式・論述式の問題中心のため、対策をしっかりと行ってください。
国語は人文学部、教育学部は現代文、古文、漢文が1題ずつ出題されますが、経済学部、創生学部、医学部保健学科看護学専攻は現代文のみで2題出題されます。現代文は普段からさまざまなテーマの文章に接しておきましょう。
なお、経済学部は2020年度から経済社会科学部に改組されます。
金沢大学
【国立大学・石川県金沢市】
学域:人間社会/理工/医薬保健
●下記はすでに終了した入試の情報です。
金沢大は、特に医薬保健学域医学類が旧制六医科大学をルーツに持つ伝統校で、全国から志願者が集まることから、合格には高い学力が必要です。
〈前期〉では、センター試験重視の配点をとる学域・学類が多くなっています。センター試験:個別試験の配点は、最もセンター試験の配点比率が低い医薬保健学域医学類が450点:700点で、最もセンター試験の配点比率が高い人間社会学域地域創造学類が950点:400点です。したがって、多くの学域・学類ではセンター試験で高得点を取ることで合格へ近づくことが可能になります。
一般的にはセンター試験の得点率は75%が目標となりますが、医学類では85%~90%、薬学類・創薬科学類では80%~85%とさらに高い得点率が必要です。
個別試験では、多くの学類では2~3科目、医学類、薬学類・創薬科学類では、英語、数学、物理、化学の4科目が課されます。英語は英問英答形式となり、英語で解答をまとめる記述力が必要です。なお、2020年度入試から医学類〈前期〉の第1段階選抜基準が3.5倍から3.0倍に変更されます。
静岡大学
【国立大学・静岡県静岡市】
学部:人文社会科学/教育/情報/理/工/農/地域創造学環
●下記はすでに終了した入試の情報です。
センター試験と個別試験の配点は、全体的にセンター試験重視配点の学部が多い大学です。〈前期〉では、センター試験ではどの学部・学環志望でも70%程度の得点率を目標にしてください。
個別試験はどの教科・科目も標準的なレベルでの出題が多いため、学校の授業、教科書を大切にして、基礎を固めることが鉄則といえます。ただし、英語の自由英作文、記述量が多く小論文的な意見論述問題も出題される国語、論述問題の多い化学や生物は差がつきやすい傾向があり、合否のポイントとなりそうです。
記述力・論述力が求められるのは国公立大の個別試験では一般的な傾向のため、実際に手を動かして解答を作成してみることが必要です。また、こうした問題は自己採点が難しいため、学校や予備校の先生に添削をお願いして練習を繰り返していきましょう。
なお、2020年度入試から個別試験において、工学部は〈前期〉〈後期〉ともに英語が追加され、情報学部情報社会学科〈前期〉の国語は小論文に変更されます。
名古屋大学
【国立大学・愛知県名古屋市】
学部:文/法/経済/教育/情報/理/工/医/農
●下記はすでに終了した入試の情報です。
名古屋大は、〈後期〉では医学部医学科のみ募集を行いますが、出願要件が愛知県内の学校出身であること、または保護者の現住所が出願時に愛知県内であることとされています。
また、医学部医学科では〈前期〉〈後期〉ともに、2段階選抜の実施が予告されています。実施予告倍率は、〈前期〉が約3.5倍、〈後期〉がセンター試験の成績が900点満点中720点以上となっています。工学部と農学部においては、高得点者選抜が実施されることも特徴です。なお、工学部と農学部は第2志望学科まで志願できます。
〈前期〉の入試問題は、国公立大学の標準レベルの良問が出題されていますが、難関国立大学だけに、やや難しめの問題の出題もあります。まず学校の授業を理解し、基礎をきちんと固めることが合格への第一歩です。国語の問題は文理共通問題になります。理学部は現代文のみですが、医学部医学科は古文・漢文の記述式が課されますので、しっかりとした解答作成力が必要です。
名古屋工業大学
【国立大学・愛知県名古屋市】
学部:工(第一部)/工(第二部)
●下記はすでに終了した入試の情報です。
名古屋工業大の第一部は、センター試験:個別試験の配点比率が〈前期〉は450点:1000点、〈後期〉は300点:1000点と個別試験を重視した配点となっています。センター試験では得点率75%以上を目標とし、何よりも個別試験の得点力アップに力を入れて、学習を進めることが合格への大きなポイントだといえます。
個別試験の試験科目は、英語・数学・理科(物理、化学から1科目選択、ただし電気・機械工学科〈前期〉、情報工学科〈前期〉〈後期〉は物理必須)です。
英語は大問5問で構成されていますが、多くの設問が英文で書かれているので、各設問で求められていることを正確に読み取れるようにすることが必要です。また、例年、簡単な計算問題が出されているのも特徴です。数学は全問記述式の大問4問で構成されています。数学Ⅲからの出題が多く、レベルは標準からやや難です。理科は物理、化学ともに大問3問で構成されています。標準レベルに加えてやや難のレベルの問題も出題されるので、応用力の養成も不可欠です。
京都大学
【国立大学・京都府京都市】
学部:文/法/経済/教育/総合人間/理/工/医/薬/農
●下記はすでに終了した入試の情報です。
京都大は、一般選抜では〈前期〉のみで募集を行っています。入試問題は難問が多いですが、マニアックな問題といった悪問や奇問はなく、思考力・表現力・構想力を試す、十分に練られた良問が出題されています。
教科ごとに見ていくと、英語は16年度以降は、英文解釈2問、和文英訳1問、条件英作文1問という大問4題構成の出題形式となっています。英文解釈の出題ジャンルは、一時は小説・文学的な随想と論説文という組み合わせでしたが、近年では2問とも論説文からの出題の傾向が続いています。
また、数学は大問で誘導形式の小問に分けない出題が半分程度含まれ、受験生に自由な発想で解答させるという方針が見られます。さらに、国語では解答に具体的な字数制限を設けずに自由に書かせる形式です。
このように、京都大は共通一次試験導入以降、出題形式の変化が少ない大学です。他大学に比べて、ややクセの強い出題も見受けられますが、それだけに京都大に絞った対策は立てやすいといえます。
大阪大学
【国立大学・大阪府吹田市】
学部:文/外国語/法/経済/人間科学/理/工/基礎工/医/歯/薬
●下記はすでに終了した入試の情報です。
大阪大は、一般選抜では〈前期〉のみで募集を行っています。
センター試験の配点が総合点に占める割合を見ると、外国語学部、理学部、基礎工学部はセンター試験の配点が3割以下と極端な個別試験重視ですが、他学部ではセンター試験の配点は無視できないといえます。これは、教科にとらわれない幅広い基礎学力を重視する方針を表しており、個別試験対策は当然ですが、センター試験でも高得点を目標に十分な対策が必要です。
センター試験の合格者平均得点率は、医学部医学科で90%以上、他の学部・学科では概ね75%~87%となっています。なお、理学部ではセンター試験の国語の配点の比重が大きく、軽視できません。すべての教科・科目で不得意分野をなくし、バランスの良い学力を養成し、時間配分やマークミスに注意した練習が効果的です。
なお、2020年度入試では、医学部医学科の個別試験の配点が600点満点から1500点満点に変更となり、より個別試験を重視した配点になります。また、第1段階選抜の実施基準も変更になります。
大阪市立大学
【公立大学・大阪府大阪市】
学部:文/法/経済/商/理/工/医/生活科学
●下記はすでに終了した入試の情報です。
大阪市立大は、2019年度入試から理学部化学科〈前期〉〈後期〉、医学部医学科〈前期〉で募集人員の変更があり、理学部地球学科〈後期〉でセンター試験の理科が2科目となり、個別試験が口述試験となりました。また、医学部医学科では〈AO〉を新規に実施し、地域枠の選抜方法が一般入試から推薦入試へ変更となりました。
〈前期〉の個別試験は、標準レベルの問題が出題されるので、学校の授業の内容をしっかりと理解しているかどうかが問われます。
英語は例年、読解問題3題、和文英訳1題という構成が多くなっており、読解力の養成が重要です。国語は、文学部が現代文2題、古典1題の計3題の構成で、文学部以外の学部は現代文2題のみを解くことになります。なお、現代文は、評論と随筆または小説が1題ずつ出題されます。文系数学は大問4題で、難易度は標準的です。理系数学も大問4題で、難易度は標準的ですが、数Ⅲからの出題頻度が高くなっています。
神戸大学
【国立大学・兵庫県神戸市】
学部:文/法/経済/経営/国際人間科学/理/工/海事科学/医/農
●下記はすでに終了した入試の情報です。
神戸大では、2019年度入試より神戸大学「志」特別入試が始まり、一般選抜の募集人員が減少となりました。
経済学部、経営学部、医学部医学科は〈前期〉のみの募集ですが、他の学部・学科では〈前期〉〈後期〉ともに募集が行われます。難関大学の〈後期〉の廃止が相次ぐ中で、上位大学からの併願先としても狙われていることから、〈後期〉は厳しい入試となっています。
歴史的に神戸高等商業学校を起源としていることから、医学部医学科を除くと、相対的に文系の難易度が理系よりも高い傾向があります。
難関大としてはセンター試験の配点比率が高く、逆転が難しいため、医学部医学科以外でもセンター試験では得点率80%以上をめざしたいところです。個別試験で出題される問題には超難問と思われるものはまず出題されません。そのため、1科目でも失敗すると大きな差が開いてしまいますので注意してください。
2020年度入試では、医学部保健学科看護専攻〈後期〉で募集人員の変更、農学部生命機能科学科でコース名称の変更が予定されています。