EYE's Journal

いま知りたい教育関連のテーマについて、ドリコムアイ編集部が取材・調査

51-2

シリーズ51 2020~2021年度 新・高校3年生対象
Part.2
全国主要30国公立大学 受験対策ガイド
【南関東・東京】
埼玉大学千葉大学東京大学
東京医科歯科大学東京外国語大学東京工業大学
一橋大学東京都立大学横浜国立大学

解説:駿台予備学校
※組織名称、施策、役職名などは原稿作成時のものです
公開:

2021年度入試をめざす新・高校3年生のみなさんが大学入試に向けて本格的な対策をスタートさせる時期になりました。そこで、主要国公立大学29大学について、センター試験の目標ラインや個別試験の特徴や対策など今後の学習の指針となるポイントについてまとめましたので、受験勉強のスタートダッシュに役立てください。なお、2018年度入試までの出題内容と2019年度の募集要項に基づいて作成していますので、必ず2019年度入試問題や2021年度入試の選抜要項・募集要項などで最新の情報を手に入れてください(全4回/その2)。

*なお、2021年度入試から従来の大学入試センター試験に代わり、新たに大学入学共通テストが実施されます。本文中の「センター試験」は「共通テスト」に読み替えていただいくことになりますが、共通テストは作問上の全国平均得点率の目標が50%とセンター試験の60%より低く設定されています。この結果、各大学の合格者平均得点率にも変化が起きることが予想されることから、今回記載した数値はあくまでも参考値としてお考えください。

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埼玉大学
【国立大学・埼玉県さいたま市】
学部:
経済/教育/教養/理/工

従来のセンター試験と個別試験の配点は、同配点の理学部数学科〈前期〉〈後期〉以外はいずれもセンター試験重視の配点でしたが、2021年度の配点や入試科目は大学の発表で確認してください。

個別試験はどの教科・科目も標準的なレベルでの出題が多いため、学校の授業、教科書を大切にして、基礎を少しでも早い時期に固めることが鉄則です。ただし、国語の現代文は難度が高い問題が出題されます。長文の評論を読ませての論述問題ですが、内容も高度であることが多いため、社会科学系のテーマの新書などを読むことから始めて、論理的な読解力の養成を目指してください。

また、理学部(数学科除く)〈前期〉では総合問題、工学部〈前期〉では小論文が必須です。理系だから国語は共通テストさえ乗り切ればいい、というわけではありません。こうした問題は実際に手を動かして解答を作成することが必要ですが、自己採点が難しいため、学校や予備校の先生に添削をお願いして練習を繰り返していきましょう。

千葉大学
【国立大学・千葉県千葉市】
学部:
文/法政経/教育/国際教養/理/工/医/薬/看護/園芸

前期の配点は、薬学部以外の学部はいずれも個別試験重視の配点です。特に、教育学部と医学部医学科は、従来のセンター試験:個別試験の配点が450点:1000点と個別試験が2倍以上でした。

個別試験の問題は、近年難化の傾向にある古文と、学部・学科による難易度の差が目立つ化学を除き、国公立大学として標準レベルの問題中心ですが、理系科目では計算力・論述力で差がつきやすいため、しっかりと対策してください。さらに難関学部志望者は高得点が要求されるため、ケアレスミス等による失点は禁物です。

2021年度入試では、国際教養学部〈前期〉は特色型入試を廃止し、通常型入試のみでの募集となります。

また、個別試験で国際教養学部〈前期〉、園芸学部〈前期〉の園芸学科、応用生命化学科では理科の選択科目から地学が除外され、園芸学科〈後期〉は総合問題から理科2科目に変更されます。薬学部〈前期〉は理科が化学1科目から化学必須、物理と生物から1科目選択の合計2科目となります。

東京大学
【国立大学・東京都文京区】
学部:
文/法/経済/教育/教養/理/工/医/薬/農

東京大の一般選抜は前期のみで実施され、従来はセンター試験110点、第2次学力試験440点の総合点550点で合否判定が行われてきました。

すべての科類で2段階選抜の実施が予告されており、その実施予告倍率は文科各類が約3.0倍、理科一類が約2.5倍、理科二類と理科三類が約3.5倍です。2019年度入試では、従来のセンター試験での1次通過最低得点率は文科一類70%、文科二類81%、文科三類83%、理科一類78%、理科二類80%、理科三類70%でした。

第2次学力試験の英語は記述式とマークシート方式を併用する形式です。個々の問題は決して超難問ではありませんが、試験開始45分後に実施されるリスニングを挟んで5つの大問を手際よく解答する能力も試されます。

他教科は高度な記述力、論述力を要する設問が中心で、基礎力を完璧にした上で過去問などを用いて答案作成力を向上させることが重要です。

なお、推薦入試は科類別ではなく学部別(医学部は学科別)に実施されており、出願要件は厳しいですが、意欲ある受験生は積極的にチャレンジしましょう。

東京医科歯科大学
【国立大学・東京都文京区】
学部:
医/歯

東京医科歯科大の前期は、医学部医学科と歯学部歯学科のセンター試験:個別試験の配点が180点:360点と個別試験重視の配点となっています。しかし、受験生のレベルが高いことから個別試験での逆転は決して簡単なものではなく、共通テストになってもできるだけ失点しないようにする必要があります。

従来のセンター試験での合格者の平均得点率は、医学部医学科が90%以上、医学部保健衛生学科・歯学部歯学科は80%前後、歯学部口腔保健学科は70%前後でしたので、共通テストでも特に医学部医学科志望者は高得点率をめざしてください。

また、個別試験の英語では1,500~2,000語程度の長文読解1題のみが出題されますが、400字以内での要約問題が最大の特徴です。また、英文は医療関係に限らず幅広いテーマから出題されるため、さまざまな英文に触れるようにしましょう。

後期は、医学部医学科、歯学部歯学科のみで実施されますが、個別試験の小論文の内容も難しいため、その対策も必要となります。

東京外国語大学
【国立大学・東京都府中市】
学部:
言語文化/国際社会/国際日本

東京外国語大の前期は、外国語大学という特性から、英語の配点が高くなっています。センター試験では450点満点中200点、個別試験では400点満点中300点の配点で、センター試験と個別試験を合わせると総合点の6割近くを占めています。特に個別試験の英語の難易度はかなり高いため、まずは英語の学力アップを目標に重点的に学習を進めてください。リスニングは分量が多いので、十分な準備が必要です。

また、センター試験の理系科目の配点は低く、数学は1科目50点、理科は地歴公民と合わせて2科目選択で100点なので、理系科目が少々苦手でも英語が得意であれば十分に合格を狙うことができます。

2021年度入試では、既に国際日本学部の個別試験で実施されている英語のスピーキングテストを言語文化学部、国際社会学部の前期でも実施します。また、国際社会学部の後期では個別試験が外国語から小論文に変更されますが、英文を読んで日本語で解答する形式のため、英語力が必要なことに変わりはありません。

東京工業大学
【国立大学・東京都目黒区】
学院:
理/工/物質理工/情報理工/生命理工/環境・社会理工

東京工業大の前期では、出願時に第3志望まで学院を選択できますが、2019年度入試の合格者最低点を見ると、情報理工学院が抜きん出た高さだったのが目立ちます。

個別試験では、理系科目の配点比率が80%と非常に高いため、数学、物理、化学をきちんと完成させることが大切ですが、難しめの問題も多いため、過去問を徹底的に研究して解答力を身につけてください。

また、英語は本文の語数が1年ごとに数百語単位で増減していますが、2019年度は2題合わせて3,100語強という多さでした。しかし、標準的な読解力や作文力を試す問題が中心であることに変わりはありませんので、基本を大事にしてください。

なお、2021年度入試では、志願者数が全学院合計の募集人員が4倍を超えた場合、共通テストの成績で第1段階選抜実施を行うと発表されていますので、国語、地歴公民を含めた共通テスト対策もおろそかにしないでください。また、生命理工学院の後期が廃止され、全学院が前期のみの募集となります。

一橋大学
【国立大学・東京都国立市】
学部:
法/経済/商/社会

一橋大は、従来のセンター試験よりも第2次試験の配点がかなり高い2次試験重視の大学で、これは共通テストになっても変わらないと思われます。

前期の従来のセンター試験合格者平均得点率は、常に85~90%程度でしたので、共通テストでも高得点獲得をめざしてください。なお、共通テストで出題される科目はセンター試験と変わらない予定です。

第2次試験の入試問題は、どの科目も一筋縄ではいかない応用問題が出題されることが少なくありません。英語の自由英作文は、発想力を問う創作型の出題が続いています。また、第2次試験でもリスニングを実施するのも特徴です。数学は文系では最も難しいレベルの問題で、整数、確率、図形問題が頻出分野です。国語は大問3題の出題で、現代文が2題、残りの1問は近代言語文の出題が目立っています。

いずれにしても合格するには早期に基礎を固め、そこから応用問題に対処できる発想力、思考力、計算力等を養成してください。なお、後期は経済学部のみの募集です。

東京都立大学(2020年4月「首都大学東京」より名称変更)
【公立大学・東京都八王子市】
学部:
人文社会/法/経済経営/都市環境/理/システムデザイン/健康福祉

東京都立大の個別試験は、全体的に標準的なレベルでの出題が中心のため、基礎をしっかりと固めてから記述式・論述式問題の対策を進めてください。ただし、分量が多い科目も目立つため、時間配分も意識した学習が必要です。

2021年度入試ではさまざまな変更点を発表していますが、特に個別試験での英語廃止が注目されます。また、すべての入試で調査書を合否判定で活用するとしています。

さらに一般選抜以外の学校推薦型選抜や総合型選抜などの募集人員を、入学定員の24%から30%に拡大します。そのため、人文社会学部〈前期〉〈後期〉、経済経営学部〈前期〉、都市環境学部〈前期〉〈後期〉、システムデザイン学部〈前期〉〈後期〉、健康福祉学部〈前期〉〈後期〉で募集人員が変更されますが、変更される募集単位のほとんどが減少ですので注意してください。

法学部は新たに後期を実施するため、前期の募集人員が減少します。また、人文社会学部人文学科〈後期〉は、個別試験を廃止します。

横浜国立大学
【国立大学・神奈川県横浜市】
学部:
経済/経営/教育/都市科学/理工

個別試験は、どの科目も基礎をしっかりと押さえておけば合格点を獲得できる国公立大学の標準レベルの問題ですが、高得点が要求されるため、ケアレスミス等をいかに少なくして他の受験生と差をつけるかがポイントといえます。

英語は標準的な出題ですが自由英作文が重視されるので、十分な対策が必要です。数学は、難易度は標準的ですが計算量が多く、確実な計算力が必要です。理科は、物理は標準的な出題ですが、化学と生物は難度の高い出題も見られます。

後期は個別試験が教科入試のため、併願先として狙われており、従来のセンター試験の目標得点率も多くの募集単位で前期より高い得点率が要求されました。この点は共通テストでも同様と思われますので、注意が必要です。

なお、2021年度入試から経済学部〈後期〉での第1段階選抜実施基準の変更、経営学部〈前期〉での2段階選抜と個別試験の新規実施、都市科学部都市社会共生学科〈前期〉〈後期〉での個別試験の科目変更などが予定されています。

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