EYE's Journal

いま知りたい教育関連のテーマについて、ドリコムアイ編集部が取材・調査

51-3

シリーズ51 2020~2021年度 新・高校3年生対象
Part.3
全国主要30国公立大学 受験対策ガイド
【中部・関西】
新潟大学金沢大学静岡大学
名古屋大学名古屋工業大学京都大学
大阪大学大阪市立大学神戸大学

解説:駿台予備学校
※組織名称、施策、役職名などは原稿作成時のものです
公開:

2021年度入試をめざす新・高校3年生のみなさんが大学入試に向けて本格的な対策をスタートさせる時期になりました。そこで、主要国公立大学29大学について、センター試験の目標ラインや個別試験の特徴や対策など今後の学習の指針となるポイントについてまとめましたので、受験勉強のスタートダッシュに役立てください。なお、2018年度入試までの出題内容と2019年度の募集要項に基づいて作成していますので、必ず2019年度入試問題や2021年度入試の選抜要項・募集要項などで最新の情報を手に入れてください(全4回/その3)。

*なお、2021年度入試から従来の大学入試センター試験に代わり、新たに大学入学共通テストが実施されます。本文中の「センター試験」は「共通テスト」に読み替えていただいくことになりますが、共通テストは作問上の全国平均得点率の目標が50%とセンター試験の60%より低く設定されています。この結果、各大学の合格者平均得点率にも変化が起きることが予想されることから、今回記載した数値はあくまでも参考値としてお考えください。

Part.1「北海道~北関東」エリアはこちら

Part.2「南関東・東京」エリアはこちら

Part.4「中国・四国・九州」エリアはこちら

新潟大学
【国立大学・新潟県新潟市】
学部:
人文/法/経済科学/教育/創生/理/工/医/歯/農

新潟大は、従来のセンター試験と個別試験の配点は、人文学部〈前期〉、経済科学部〈前期〉、医学部医学科〈前期〉、歯学部歯学科〈前期〉は個別試験重視ですが、他はいずれもセンター試験重視です。

従来の前期合格者のセンター試験平均得点率は、例年、医学部医学科が90%前後、歯学部歯学科が80%前後と高い得点率となっていましたので、共通テストでも高得点獲得をめざしてください。

個別試験は、全体的には基礎を押さえておけば合格点に到達できる、国公立大学として標準的なレベルでの出題中心ですが、他の国公立大学同様に記述式・論述式の問題が中心です。国語は人文学部、教育学部で現代文、古文、漢文が1題ずつ出題されますが、経済科学部、創生学部、医学部保健学科看護学専攻は現代文2題のみの出題です。現代文は普段からさまざまなテーマの文章を読んで読解力を高めておきましょう。

2021年度入試では教育学部、創生学部で後期を廃止する他、多くの学部で入試科目や配点の変更があるため注意が必要です。

金沢大学
【国立大学・石川県金沢市】
学域:
人間社会/理工/医薬保健

金沢大は、特に医薬保健学域医学類が旧制六医科大学をルーツに持つ伝統校で、全国から志願者が集まることから、合格には高い学力が必要です。一般的には従来のセンター試験の得点率は75%が目標でしたが、医学類では85~90%、薬学類・創薬科学類では80~85%とさらに高い得点率が必要でしたので、この2学類志望者は共通テストでも高得点獲得をめざしてください。

個別試験では、多くの学類では2~3科目、医学類、薬学類・創薬科学類では、英語、数学、物理、化学の4科目が課されます。英語は英問英答形式中心で、英語で解答をまとめる記述力が必要です。こうした問題は自己採点が難しいため、学校や予備校の先生に添削してもらうのが良いでしょう。

2021年度入試では、後期が廃止され、融合科学域先導学類が新設されます。また、すべての学類が個別試験重視の配点となり、さらに調査書の点数化、個別試験の科目変更、新たに総合問題を課す学類もあるので注意が必要です。

静岡大学
【国立大学・静岡県静岡市】
学部:
人文社会科学/教育/情報/理/工/農/地域創造学環

従来のセンター試験と個別試験の配点は、全体的にセンター試験重視配点の学部が多い大学です。前期では、従来のセンター試験ではどの学部・学環志望でも70%程度の得点率が必要でした。

個別試験はどの教科・科目も標準的なレベルでの出題が多いため、学校の授業、教科書を大切にして、基礎を固めることが鉄則といえます。

ただし、英語の自由英作文、記述量が多く、小論文的な意見論述問題も出題される国語、論述問題の多い化学や生物は差がつきやすい傾向があるため、合否のポイントとなりそうです。記述力・論述力が求められるのは国公立大の個別試験では一般的な傾向のため、実際に手を動かして解答を作成してみることが必要です。また、こうした問題は自己採点が難しいため、学校や予備校の先生に添削をお願いして練習を繰り返していきましょう。

2021年度入試では、理学部創造理学コースの前期募集が始まるほか、多くの学部・学科が新たに小論文を課します。

名古屋大学
【国立大学・愛知県名古屋市】
学部:
文/法/経済/教育/情報/理/工/医/農

名古屋大は、前期の工学部と農学部では第2志望学科まで志願できますが、高得点者選抜が実施されることが特徴です。

前期の個別試験では、国公立大学の標準レベルの良問が出題されています。難関国立大学だけにやや難しめの問題の出題もありますが、まず学校の授業を理解し、基礎をきちんと固めることが合格への第一歩です。さらに、医学部医学科志望者は難問にも対応できる応用力養成も必要です。また、理系学部の一部で国語が課されることが特徴です。

2021年度入試では、医学部医学科で古文・漢文の出題がなくなり、理学部と同様に現代文のみの出題となります。さらに医学部保健学科でも新たに現代文が課されます。理学部、医学部志望者は国語をおろそかにせず、しっかりとした記述式答案の作成力を身につけてください。後期では医学部医学科のみで募集を行いますが、出願要件が愛知県内の学校出身であること、または保護者の現住所が出願時に愛知県内であるといういわゆる地域枠での募集です。

なお、2021年度入試から2段階選抜が廃止されます。

名古屋工業大学
【国立大学・愛知県名古屋市】
学部:
工(第一部)/工(第二部)

名古屋工業大の第一部は、従来のセンター試験よりも個別試験の配点がかなり高い個別試験重視で、これは共通テストになっても変わらない予定です。共通テスト対策をしっかりと行いながら、個別試験の得点力アップに力を入れて、学習を進めることが合格への大きなポイントだといえます。

個別試験の科目は、英語・数学・理科(物理、化学から1科目選択、ただし電気・機械工学科〈前期〉、情報工学科〈前期〉〈後期〉は物理必須)です。

英語は大問5問で構成されていますが、多くの設問が英文で書かれているので、各設問で求められていることを正確に読み取れるようにすることが必要です。また、例年、簡単な計算問題が出されているのも特徴です。数学は全問記述式の大問4問で構成されています。数学Ⅲからの出題が多く、レベルは標準からやや難です。理科は物理、化学ともに大問3問で構成されています。標準レベルに加えてやや難のレベルの問題も出題されるので、応用力の養成も不可欠です。

京都大学
【国立大学・京都府京都市】
学部:
文/法/経済/教育/総合人間/理/工/医/薬/農

京都大は、一般選抜では前期のみで募集を行っています。個別試験の入試問題は難問が多いですが、マニアックな問題といった悪問や奇問はなく、思考力・表現力・構想力を試す、十分に練られた良問が出題されています。

教科ごとに見ていくと、英語は、2019年度入試では英文解釈1問、和文英訳1問、条件英作文1問という大問3題構成の出題形式に変更されました。英文解釈の出題ジャンルは、近年では論説文からの出題の傾向が続いています。また、数学は大問で誘導形式の小問に分けない出題が多く、受験生に自由な発想で解答させるという方針が見られます。さらに、国語では解答に具体的な字数制限を設けずに自由に書かせる形式です。

このように、京都大は共通一次試験導入以降、出題形式の変化が少ない大学です。他大学に比べると、ややクセの強い出題も見受けられますが、それだけに、京都大に絞った対策は立てやすいといえます。効率的な学習のために駿台予備学校の京都大対策講座もうまく利用してください。

大阪大学
【国立大学・大阪府吹田市】
学部:
文/外国語/法/経済/人間科学/理/工/基礎工/医/歯/薬

大阪大は、一般選抜では前期のみで募集を行っています。共通テストの科目はセンター試験の科目から変更はなく、個別試験の科目も薬学部を除き変更はありません。

配点が総合点に占める割合を見ると、外国語学部、理学部、基礎工学部、医学部医学科は、従来のセンター試験の配点が3割以下と極端な個別試験重視でしたが、他の学部・学科では従来のセンター試験の配点は無視できない比重でした。これは、確かな基礎学力を重視する方針を表しているといえます。

2021年度の配点は選抜要項で確認する必要がありますが、難関国立大学だからといって、個別試験対策ばかりに時間を割くのではなく、共通テスト対策もしっかりと行ってください。

なお、2021年度入試では、人間科学部が2段階選抜を新規実施し、医学部医学科は面接の選考基準を変更します。薬学部では第1段階選抜実施基準が約4倍から約2.5倍となり、個別試験で小論文と面接が追加され、面接結果次第では教科試験の得点にかかわらず不合格となります。

大阪市立大学
【公立大学・大阪府大阪市】
学部:
文/法/経済/商/理/工/医/生活科学

2020年度入試では理学部数学科〈前期〉〈後期〉、化学科〈前期〉、生物学科〈前期〉〈後期〉、地球学科〈後期〉で募集人員の変更がありました。

前期の個別試験は、標準レベルの問題が出題され、学校の授業の内容をしっかりと理解しているかどうかが問われます。

英語は例年、読解問題3題、和文英訳1題という構成が多くなっており、読解力の養成が重要です。国語は、文学部が現代文2題、古典1題の計3題の構成で、文学部以外の学部は現代文2題のみを解くことになります。文系数学は大問4題で、難易度は標準的です。理系数学も大問4題で、難易度は標準的ですが、理学部と工学部〈前期〉〈後期〉、医学部医学科〈前期〉は微・積分法からの出題頻度が高くなっており、生活科学部食品栄養科学科は、微・積分法、ベクトルからの出題頻度が高くなっています。

2021年度入試では、医学部看護学科〈前期〉の入試科目から国語がなくなります。なお、2019年8月に大阪府立大学との統合による「新大学基本構想」を発表しています。

神戸大学
【国立大学・兵庫県神戸市】
学部:
文/法/経済/経営/国際人間科学/理/工/海事科学/医/農

経済学部、経営学部、医学部医学科、医学部保健学科作業療法学専攻は前期のみの募集ですが、他の学部・学科・専攻では後期も募集します。難関大学の後期の廃止が相次ぐ中で、上位大学からの併願先としても狙われていることから、後期は厳しい入試となっています。

歴史的に神戸高等商業学校を起源としていることから、医学部医学科を除くと、相対的に文系の難易度が理系よりも高い傾向があります。難関大としては従来のセンター試験の配点比率が高かった大学で、個別試験での逆転が難しかったため、共通テストについてもしっかりと対策することが必要です。

また、個別試験で出題される問題には超難問はまず出題されません。そのため1科目でも失敗すると大きな差が開いてしまいます。

2021年度入試では、工学部応用化学科と情報知能工学科〈前期〉〈後期〉、農学部資源生命科学科応用植物学コース〈前期〉で募集人員が変更され、医学部保健学科作業療法専攻では後期の募集が廃止されます。

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